区分マンションを電話営業から購入した人の話
私も昔ありましたが、勤務先に区分マンションの営業電話がかかってくる事があります。
今回はその営業マンから区分マンションを購入した人の話です。
職場に突然1本の電話が
購入者は30代前半の女性Mさんです。
大学院を卒業後、大手企業に勤め丸の内で働いています。
不動産会社から職場にいきなり電話がかかってきて、「都内の部屋を買いませんか?」とのこと。
- 都内なので価値が下がらない
- 単身者が増加しているので入居も楽勝
- ローンを払い終えたら資産として残る
私が会社員時代に受けたトークも似た様な内容だったのを思い出しました。
その後直接会うことになり、その際都内の区分マンションを勧められたそうです。
結果、この女性は同じ営業マンから区分マンションを4戸購入することになりました。
区分マンション営業の常套句と商品の特徴
Mさんは結局購入してしまうのですが、営業マンに言われたポイントは以下になります。
①これからは年金がもらえるか分からない。
②物件価格は3,500万で自己資金は諸経費のみ。毎月の手出しは1万円程
③返済は全て家賃収入から賄えて、毎月の手出し(1万円)は管理費や修繕費
④団体生命保険に入れるので保険代わりになる。保険料として考えれば安い
⑤オリンピックがある東京では価値の下落は無く、上場企業勤務のあなたに相応しい
ちなみに利回りは4%前後との事です。
一つ1つを検証します
今のポイントを1つづつ見ていきます。
①これからは年金がもらえるか分からない。
これは正しいはずです。
というか私は貰えないと思っています。
②物件価格は3,500万で自己資金は諸経費のみ。毎月の手出しは1万円程
ここから話がおかしくなってきます。
まず、「不動産賃貸業」という一つの事業を行う事を進めているのに、何故毎月赤字になる事を良しとしているの?ということです。
③返済は全て家賃収入から賄えて、毎月の手出し(1万円)は管理費や修繕費
これももちろん駄目で、何故家賃収入の全てを返済に回さなくてはならないの?と思います。
毎月の手出しだけでもあり得ない事ですが、おまけに毎月全額返済に回すと今後確実に起きる「空室期間」は更なるマイナスになります。
設備の故障など突発的なトラブルにも自腹で対応しなくてはなりません。
④団体生命保険に入れるので保険代わりになる。保険料として考えれば安い
不動産購入で融資を受ける際、希望すれば団体生命保険に入る事が出来ます。
ただ、冷静に考えれば分かると思うのですが、保険が必要なら保険に普通に加入すれば良いだけです。
おまけにこの女性は4戸購入していますが、生命保険に4つも加入するのか?と言う話です。
⑤オリンピックがある東京では価値の下落は無く、上場企業勤務のあなたに相応しい
東京など一等地は価値が落ちにくいので、無いとは言えませんが許容範囲かと思います。
ただ、「賃貸業」として行うので本来は「満室稼働できるか?」に焦点を絞るべきであり、(その上で土地の価値も大切です)土地値に投資する訳ではない訳です。
ステイタスの話をされると事業とは関係なくなってきていますが、見栄やプライドを煽っているのでしょう。
自分の身は自分で守るしかない
区分マンションで営業されている物件は、以上の理由から買うべきではないということになります。
そもそも人気物件は営業しなくても売れるので、わざわざ電話営業する必要がないのです。
この手の勧誘は昔から無くなりませんが、理由は簡単で「買う人がいるから」です。
不動産「投資」ではなく、「事業」として成り立つかを前提にしておけば絶対断るはずです。
この手の業者のタチが悪いのは「実際とは違うけど嘘ではない」事をうまく誇張して営業してくる点です。
上手い話に安易に乗っかるのは本当に危険です。