退居時費用の正しい知識【ぼったくりに要注意】
大家として部屋をお貸しする一方で私自身も賃貸に住んでいます。
会社員時代から通算10回以上は引越ししてきたので、引越し&借主としての退去時費用の清算も慣れているかなと思ってます。
賃貸のトラブルで一番聞くのが、退居時の費用負担で大家(管理会社)とモメることです。
(実際、借主負担を上乗せして請求する業者も聞きます。)
クリーニング費用が異常に高かったり、なにかと理由をつけて敷金が返還されなかったり、悪質な場合は立ち合い時に確認していないキズや損耗まで請求されたり・・と色々あります。
知識がないと業者のいわれるがままになりかねません。
今日のブログではよく聞く事例を交えて、払う必要のない退居費用と業者への対応をお伝えします。
よく起きる退居時トラブル
①敷金が返還されない
退居時のトラブルで一番多いのがこれです。
実際わたしも不動産投資の知識をつけるまでは全額返ってきたことがありませんでした。
国民生活センターのHPを見ると、毎年1万件以上の相談が寄せられています。
見当違いの問い合わせも多そうですが、疑問に感じている人が多いのは事実でしょう。
敷金は本来「預かっているもの」であり、返還することが前提なのです。
部屋を普通に使用して受けるダメージは「通常損耗」と呼ばれ、敷金を使って修繕するものではありません。
部屋のオーナーが自分の資産として、自腹で修繕する内容なのです。
にも関わらず、敷金を返還しない前提で対応してくるオーナーや不動産会社は余裕で存在します。
②退居立ち合い時に確認していない損傷の費用を請求される
これは私に実際起きたことです。
退居立ち合い時はしっかり確認&同意書にサインするのですが、明らかにない修繕(シンク周りの穴の補修)を請求されました。
正確に言うと、穴は補修できないため台所交換になるとのことで費用は7~8万だったと思います。
私の知り合いもペットを飼っていたところ、退去時の清算金が60万円で全く身に覚えのない箇所も請求されていたとのことなので要注意です。
国交省の現状回復ガイドライン
ここまでの請求理由はもちろん駄目ですが、とは言っても「退居した際、現状回復して部屋を返す」のは借主の義務です。
問題は「どこまでを現状回復するのが適正なのか?」ということなのですが全てを元通りにする義務はありません。
- 普通に使っていたらこれくらいは消耗するね(通常損耗)
- 時間が経つぜったい、劣化してしまうよね(経年劣化)
この2つを国土交通省のガイドラインをもとに決めていくわけです。
図のように、経年劣化と通常損耗は賃料に含んでおり過去の判例を見ても同じです。
退居時の費用精算事例
①画びょうでカレンダーやポスターを張ったら壁に穴が開いてしまった
→貸主負担。画びょう程度は「日常的な行為」となり賃借人は負担義務なし
②壁に棚をつけるためにネジで穴を空けた
→下地ボードに届くほどのネジは日常的な行為とは判断されないことが多く、賃借人負担。
③タバコのヤニ汚れは?
→賃借人負担。(ただし煙草を吸っていた部屋だけ)
④家具のへこみ・設置跡や家電焼け
→家具の設置は「普通の行為」と判断される為オーナー負担。
⑤賃借人の過失で壁紙の一部を破いてしまった
→破れた面積分を賃借人が負担。残りの箇所の壁紙張替えはグレードアップと判断されることが多く、オーナー負担。
入居してからの期間で変わる負担割合
ところで、退居費用は「住んだ年数」によって負担割合が変わってきます。
長く使えばモノは傷むので、それを考慮して負担額を決めましょう、ということですね。
一般的には以下の居住年数で負担額がゼロになります。
- 耐用年数5年
流し台 - 耐用年数6年
エアコン・畳床・カーペット・クロス - 耐用年数8年
備え付けの家具 - 耐用年数15年
トイレ・給排水・金属製の設備 - 建物の耐用年数が適用されるもの
ユニットバス・浴槽など
退居時費用を抑える対策
①退居時は部屋の清掃を
退居立合い業者が部屋に入ったとき、一目でキレイだと分かれば経験上、難クセつけられることが圧倒的に少ないです。
第一印象が大事なのは部屋も同じなわけですね。
それでもハウスクリーニングは請求されるケースが多いので、してないとほぼ請求されます。
部屋の隅々まで掃除してから退居立ち合いするのがお勧めです。
②現状回復の内訳を把握する
退居立ち合いから数日後、不動産会社から費用精算の明細が送られてきます。
確認していない項目があったり、明らかに高いものがないかを確認します。
- 「ハウスクリーニングで5万円」
- 「タバコを吸っていたので全部屋分のクロス張替え
- 「エアコン清掃必須」
よく確認しないと、高過ぎる内容がかなり盛り込まれていることがたまにあるので気をつけましょう。
このほかにも「業者が疲れていて早く業務を終わらせたい夕方を狙う」などがあります。
結局は話合い
国土交通省が決めているルールに基づくとはいっても、「常識の範囲内の損耗」や「普通に使用したときの損耗」など曖昧な基準なため、問い合わせたこともありますが結局は話合いで決めるしかないようです。
そのときに知識がある人は応戦できますが、言われるがままになると悪徳業者に小銭を持っていかれます。
少し調べるだけで充分なので事前に知識を入れてから退居立ち合いすることをおすすめします。