物件購入前のヒアリング調査の真実
物件を購入する前は地場の不動産会社さんに必ずヒアリング調査をしていますが忘れてはならない大前提と目的があります。
私の場合、昔から売れ残っている物件が購入候補になる事が多いので、ヒアリングする時間はたっぷり確保できる事が多いのですが、これを抑えずやってしまうと意味がありません。
ヒアリング調査のテクニックをマスターすれば、規模拡大する上で超強力な武器になります。
聞き取り先は購入候補物件のエリアの不動産会社です。
・管理会社(3~5社)
・仲介会社
・施工元(場合によっては)
地場の管理会社は必須、不安な物件には仲介会社にも聞き取りし、施工元に直接問い合わせた事もあります。
ヒアリング調査を開始するタイミングは、買付を入れて融資審査の進捗を見て、購入できそうならその時に開始しています。
「この物件の空室は埋まりますか?」は最も稚拙な聞き方
初心者にありがちなのが、満室にできるかどうかをストレートに聞いて終わってしまうパターンです。
- 「満室に出来る見込みってありますかね?」
- 「この物件、空室があるんですけど埋まりますか?」
- 「このエリアの入居付けは他のエリアと比べてどうですか?」
これらの質問が悪いのではなく、これで終わってしまってもほぼ意味が無いヒアリングになってしまう、ということです。
何故かと言うと、都内以外の賃貸需要では管理会社さんからすると自信満々に「入居付けできます」と言える事は少ないからです。
かといって「無理です」と言う事も当然できません。
グレーで即答できない要素が多いのが賃貸需要なので、単純な質問をしても無意味な徒労に終わってしまいます。
私の経験でも自信満々に入居付けできると答えるのは5社中1社いるかいないかです。
おまけに、一方では「このエリアは高所得者が多い」と言いつつ、別の管理会社では「ここは治安が悪く、高所得者はいない」など会社や担当者によって正反対の回答がきたりします。
(人間である以上、ある程度は間違ったり適当な事を言うのは仕方ありませんね。)
仲介・管理会社は「常に空室と戦っている」という前提
大家の立場になると忘れがちですが、仲介や管理会社は日頃から空室と戦っています。
なので、大家が「満室が見込めた」としても、日頃から空室を埋めようと躍起になっている当事者からすると「埋まる気がしない」ケースが圧倒的に多いのです。
よほど飛びぬけた物件じゃないと、「満室にできます!!」と歯切れ良く言う事はできないのも納得ですよね?
この前提を押さえないでヒアリングをしても会話が一方通行ですれ違っていくばかりでしょう。
おまけに、あまりに自信満々に満室可能だと宣言したにも関わらず、空室が埋まらない場合、自分の責任になるので、やはり「無難」な回答になってしまうのは当然なのです。
「では○○をすれば空室が埋まりますか?」
ヒアリング調査は部屋を「埋めたい当事者(大家)」と「埋める当事者(不動産会社)」にそもそもの意識の差がある事が前提なのですが、それを踏まえた上で入居が決まっていない部屋を調べると、大半は家賃が高いです。
割高な部屋は言うまでもなく入居されません。(当然ですよね?)
仮に、
・3点ユニット
・ボットントイレ
・駅から車で1時間
等、一般的なマイナス要素を兼ね備えた物件でも家賃が安ければ必ず入居は決まります。
繰り返しになりますが、決まらないのは要は家賃が高いのです。
なので、ヒアリング時は割高感を克服できる価値や対策が無いか?を探って質問します。
・「駅からの距離が遠いですが、フリーレントを1ヶ月つけると割安感は出ますか?」
・「築古アパートですが、生活保護者や母子家庭など入居者を選ばず間口を広げたら決まりそうですか?」
・「近隣の同スペックのアパートは家賃が5,000円安いのでウチは7,000円安くしたらどうでしょうか?」
・「地場の不動産会社さんに広告費をはずむから入居付けして欲しい旨の告知をしたらどうでしょう?」
全ての質問は「どうしたら満室にできそうなのか?」や「その可能性はあるのか?」という具体的な提案が混ざった質問にする訳です。
・このエリアで満室にする為に必要な設備等はありますか?
・購入候補物件の近隣物件で御社が管理している物件はありますか?
・その物件の稼働率はいかがですか?
・その稼働率になるのはその物件だからですか?それともそのエリア全域ですか?
・このエリアで満室経営しれいる大家さんとそうではない大家でどういう差がありますか?
他にも色々ありますが、満室にするためのアイデアを一生懸命考え、試行錯誤することで大半の人が尻込みする物件を買う事ができる様になっていくはずです。
ヒアリングは練習や場数が必要ですが一度出来る様になってしまえば、売れ残り物件でもポテンシャルを引き出す事ができる、つまり大家力が大幅にアップしているのは間違いありません。